- 投稿 2017/07/17
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ひじきは「無機ヒ素」を多く含む危険で有害な食品?
日本では昔から馴染みのある「ひじき」ですが、イギリスでは食品規格庁より、
「健康を害する食べない方がよい食品」として勧告されています。
英国食品規格庁はロンドンで売られている31検体の海藻類について、総ヒ素と無機ヒ素の濃度を測定しました。
ヒ素はすべての海藻類(ひじき、あらめ、わかめ、昆布、のり)から検出されましたが、特にひじきに無機ヒ素が多く含まれていました。そのため、無機ヒ素が多く含まれるヒジキをあえて食べないように勧告したのです。
ヒ素の毒性とは?
ヒ素は農薬、殺鼠剤に使用されるなど用途が広く、より身近にある毒物で、集団食中毒の形をとることも多いです。
ヒ素の毒性は有機ヒ素より無機ヒ素の方が強く、ヒ素による中毒は一度に大量に取ることによっておこる急性中毒と長年にわたり摂取することによっておこる慢性中毒があります。
ヒ素による慢性中毒は潜伏期が長いのが特徴で47年経過してからヒ素中毒とわかった事例も報告されています。
急性中毒の主な症状は悪心、嘔吐、下痢、腹痛などで全身性の痙攣で死に至ることもあります。
慢性中毒の主な症状は嘔吐、食欲減退や皮膚に発疹や炎症を生じたりします。ヒ素は毛髪に沈着するため、慢性中毒の診断には毛髪を調べることが有用です
また、WHO(世界保健機関)のファクトシートによると「飲料水や食事からのヒ素の長期にわたる摂取は、がんや皮膚病変の原因となりうる。また、心血管疾患、神経疾患、糖尿病の発症にも関連している。」とあります。
ひじきとタバコはどちらが危険?
タバコは1本で余命を12分縮めると言われています。コーヒー1杯は20秒。ソーセージ1本で25秒。
そしてヒジキは小鉢1杯でなんと58分余命を縮めると言われており、タバコより有害なの??と、
一気にヒジキが危険だという説が広まったようです。
果たして、そんなにひじきは危険なのでしょうか?1日にどれくらい食べたら危険なのでしょうか?
厚生労働省の見解・ヒジキのヒ素の安全と危険性
1日あたり4.7g以上を食べ続けない限り、健康に悪影響を与えることはないとのことです。
平均的な日本人の食生活では、ひじきの摂取量は1日0.6g程度ですので、今まで通りの食事であれば、ひじきで問題は起こらないと考えて差し支えありません。
もちろん量の問題ですので、もし毎日必ず、丼に1杯ずつひじきを食べているという場合は無機ヒ素が問題になる可能性もあります(しかしその場合、ひじきの無機ヒ素の問題以前に食事のバランスがよくないので、食事内容を考え直すべきでしょう)。
実際、厚生労働省の発表にも「海藻中に含まれるヒ素によるヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はありません」と明記されています。
非常識に多い量を撮るのでなければ、妊娠中であっても赤ちゃんや子供が食べることも問題がないそうです。むしろ、ひじきに含まれる食物繊維やカルシウム、鉄は豊富なため、常識的な範囲では食べてもよい食品になります。
効果的にひじきのヒ素を除去する調理方法は?
農林水産省がいろいろな調理方法でヒ素の含有量の変化を調べています。
無機ヒ素は水溶性であるため、水戻し、茹で戻し、茹でこぼしなどでかなりのヒ素が除去できることがわかりました。
水戻しで50%、茹で戻すと80%、茹でこぼすと90%程度減らすことができることが分かりました。この結果から「茹でこぼし」するのがもっとも無機ヒ素を減らすために有効だといえます。
具体的な調理法
・水戻し……30分間水に浸し、戻し水を捨てて水洗い
・茹で戻し……水に入れて茹で、沸騰後5分茹でる。茹でた湯を捨てて、水洗い
・茹でこぼし……30分水に浸し、戻し水を捨てる。お湯に入れ茹で、沸騰後5分間茹でる。さらに茹でた湯を捨てて水洗い
そして、調理の際、最も重要なことは、戻し汁は使わないこと。
- 乾燥ひじきはたっぷりの水で30分以上水戻ししてから調理する。
- 水戻しに使った水は、調理には使わない。
- 水戻しした後は、ボールに入れた水で2~3回洗い、よく水気を絞る。
- 茹でるときは水戻ししてから茹でる。
しいたけの戻し汁のように出汁が溶けているのであれば調理に使わない手はありませんが、ひじきの戻し汁には無機ヒ素が溶け出しているため、「ひじきの戻し汁=無機ヒ素水」になっています。ご注意を!
調理で栄養素は残っているの?
◇ 鉄分
乾燥ヒジキの鉄分は、「水戻し」、「ゆで戻し」、「ゆでこぼし」をしても7割以上残りました。
◇ カルシウム
乾燥ヒジキのカルシウムは、「水戻し」、「ゆで戻し」、「ゆでこぼし」をしてもほとんど減りませんでした。
◇ 食物繊維
乾燥ヒジキの食物繊維は、「水戻し」、「ゆで戻し」、「ゆでこぼし」をしても8割以上残りました。
上手にヒ素を除去して、良い栄養は取りながら今後も食卓には登場し続けてほしいですね。